DeNA第1Q決算を受けて
2011年度第1四半期のハイライト ●国内アプリ版「Mobage」をアンドロイド向けにリリース。ゲームエンジン「エヌジーコア」を用いたソーシャルゲームの投入を開始。(忍者ロワイアルなど) ●国内向けサムスン電子製アンドロイド搭載スマートフォンに国内版「Mobage」の提供を開始。(ゲームハブとして搭載、中身はモバゲー) ●国内スマートフォン版Mobageの順調な成長 ・4月下旬:ドコモ、ソフトバンクによるキャリア決済の導入。 ・5月:人気タイトルのブラウザ版移植の進展とアプリ版「Mobage」のサービス開始 ・タイトル数 ブラウザ版:54タイトル、アプリ版13タイトル(2011/6末) ●韓国に現地法人を設立。マーケティング、開発企業開拓を開始。 |
2011年度第1四半期連結業績
当四半期 | 前年同期 | 前年同期比 | 前四半期 | 前四半期比 | |
売上高 | 34,649 | 24,193 | +43% | 31,955 | +8% |
営業利益 | 15,809 | 11,989 | +32% | 15,736 | +0% |
経常利益 | 15,757 | 11,952 | +32% | 16,111 | -2% |
純利益 | 9,456 | 6,526 | +45% | 9,275 | +2% |
2011年度第1四半期の売上高は上記の表のとおりです。前年同期比で大幅な増収増益となっています。前四半期との比較では8%の増収、営業利益は若干のプラスとなっています。
今四半期から、海外子会社(エヌジーモコ、ゲームビュー)の連結が開始されており、売上高ベースで約10億円のプラス要因、利益ベースで約11億円(赤字-3億円、のれん償却-8億円)のマイナス要因となっています。海外要因を含めない今四半期決算は、1桁台とはいえ増収増益が続いており、国内の成長も以前ほどの勢いがないとはいえ、いまだ拡大している状況にあるといえます。
2Q累計予想に対する進捗
当四半期 | 2Q累計予想 | 進捗率 | |
売上高 | 34,649 | 71,000 | 48.8 |
営業利益 | 15,809 | 32,500 | 48.6 |
経常利益 | 15,757 | 32,500 | 48.5 |
純利益 | 9,456 | 18,600 | 50.8 |
6月中旬に会社側が上方修正した2Q累計の予想に対する進捗は上記のとおりです。ほぼ予想通りの進捗となっていますが、しかし、会社側の2Q累計予想はモバゲーの海外での成長は殆ど織り込んでいないと考えられ、その動向次第では業績の上ぶれの可能性もあり、注意してみていく必要がありそうです。
売上高の推移(単位百万円)
- | 2009年度 | 2010年度 | 2011年度 | ||||||
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 1Q | |
売上高 | 8,810 | 8,565 | 11,655 | 19,073 | 24,193 | 27,085 | 29,494 | 31,955 | 34,649 |
SM事業・売上高 | 5,225 | 4,937 | 7,711 | 14,833 | 20,375 | 23,203 | 25,411 | 28,203 | 31,067 |
SM事業・割合(%) | 59.3 | 57.6 | 66.2 | 77.8 | 84.2 | 85.7 | 86.2 | 88.2 | 89.7 |
売上高及び営業利益ともに7四半期連続で過去最高を達成。それを牽引しているのがモバゲーを中心としたソーシャルメディア事業。その割合は、今Qにおいて全事業の約9割を占める主力事業となっている。ソーシャルメディア事業については後述。
営業利益・営業利益率の推移(単位百万円)
2009年度 | 2010年度 | 2011年度 | |||||||
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 1Q | |
営業利益 | 3,137 | 3,083 | 5,224 | 9,819 | 11,989 | 13,624 | 14,745 | 15,736 | 15,809 |
営業利益率(%) | 35.6 | 36.0 | 44.8 | 51.5 | 49.6 | 50.3 | 50.0 | 49.4 | 45.6 |
営業利益率は今回45.6%と3.8ポイントのマイナスとなった。これについては、今Qからの海外子会社の連結開始による11億円の赤字が主な要因。
●主力事業・ソーシャルメディア事業
ソーシャルメディア事業、1Qのハイライト ●モバコイン消費は引き続き順調に拡大 ・「Mobage」プラットフォームの延べタイトル数は1,000を突破。 ・オープンゲームで消費コイン月間10億円をこえるヒットタイトルが登場 ●国内「Mobage」会員数の拡大 ●30代以上会員比率の更なる拡大 ●キャリアとの本格業務提携 ・NTTドコモの公式サイト化 ●スマートフォン展開本格化 |
ソーシャルメディア事業、売上高の内訳(単位百万円)
10/1Q | 10/2Q | 10/3Q | 10/4Q | 11/1Q | 割合(%) | |
売上高 | 20,578 | 23,325 | 25,511 | 28,306 | 31,161 | 100.0 |
ゲーム関連 | 15,987 | 18,737 | 20,856 | 24,149 | 27,448 | 88.0 |
アバター | 2,580 | 2,669 | 2,615 | 2,015 | 1,819 | 5.8 |
広告 | 1,787 | 1,696 | 1,779 | 1,774 | 1,527 | 4.9 |
その他 | 224 | 223 | 261 | 368 | 367 | 1.2 |
※売上高は連結セグメント間の消去前の数字となっており、上記表との数値とは若干異なっています。
主力のソーシャルメディア事業に関しては、ゲーム関連がその大半を占めています。
ゲーム関連とは、アイテム課金、ゲーム内広告、SAP広告、mixiアプリモバイル、成果報酬型広告(ユーザーは、モバコイン獲得)海外等から成り立っています。
国内「Mobage」会員数の推移(単位万人)
- | 2009/9 | 2010/6 | 2010/9 | 2011/6 |
有効会員数 | 1,510 | 1,993 | 2,167 | 2,971 |
有効会員数の年齢構成(%)
09/9末 | 10/6末 | 11/6末 | |
30代以上 | 26 | 32 | 42 |
20代 | 43 | 42 | 38 |
10代 | 31 | 26 | 20 |
「Mobage」会員数は順調に拡大しており、足元7月では3,000万人に達した模様。また、30代以上の会員比率も拡大しておりモバコインの消費拡大に影響している。
モバコイン消費推移(単位百万円)
09/4Q | 10/1Q | 10/2Q | 10/3Q | 10/4Q | 11/1Q | |
モバコイン消費量※ | 10,361 | 16,721 | 20,288 | 23,357 | 28,178 | 33,437 |
※モバコイン消費、ソーシャルゲーム月額課金、チケット売り上げ分合計
ソーシャルゲーム利用の増加がモバコイン消費増加の主な要因。
●大きな可能性を秘めるソーシャルゲーム市場について
足元の国内ソーシャルゲーム市場の成長
2011年度:約2000億円⇒2012〜2013年度にかけて:約3000億円へ(1.5倍)
※DeNA推定
世界のソーシャルゲーム市場の成長性
10年前の国内家庭用ゲームソフト市場は世界シェアの40%を占めていた。DeNAはソーシャルゲーム市場でも同様に、海外市場が今後大きく伸張する可能性があるとみており、リスクを負って(海外企業を買収したり投資をして)海外進出し、ソーシャルゲーム市場の世界のトップスタンダードになる戦略を推し進めていると考えられる。
家庭用ゲームソフト市場規模の推移
- | 2001年 (市場規模・約8千億円) |
⇒ | 2010年 |
日本 | 42% | ⇒ | 15% |
海外 | 58% | ⇒ | 85% |
- | 2011年 (市場規模・約4千億円) |
⇒ | (市場規模・数兆円) |
日本 | 50% | ⇒ | 15% |
海外 | 50% | ⇒ |
「Mobage」の海外戦略に対して、「海外でも果たしてソーシャルゲームが受けいられるのか」という疑問(アナリストも含め)が、現在非常に多いようだ。「家庭用ゲームでも過去同じ疑問がささやかれたが、その後世界で家庭用ゲームは受け入れらた。ならば日本でヒットしたソーシャルゲーム市場も同様なのではないか。そのノウハウが我々にはある」これがその疑問に対してのDeNAなりの回答と思われる。
携帯電話の圧倒的な普及数と利便性は、ソーシャルゲームの展開に非常に有利といえ、スマートフォンの普及により、その有利性はいっそう拍車がかかろう。
今後5年程度かけて、現在の携帯電話市場がスマートフォンに切り替わったとき、ソーシャルゲーム市場に大きな適性を持つ巨大な市場が形成されると仮定したならば、DeNAの成長もまた大きなものとなっている可能性は高い。
また、ソーシャル・メディア、ゲームに対するニーズは、国民性や地域によらず普遍的と考える事が可能ならば(7月末にいち早く、海外へとグローバル展開をスタートした)、DeNAの優位性は今後より大きなものとなるのではないでしょうか。
DeNAの直近の状況
現状ではDeNAは株価が高値を更新しており、また好決算を発表した企業が相次いで材料出尽くしから、株価は短期調整を余儀なくされており、それらにつれた動きになる事もあるだろう。
しかし、今後の焦点はいよいよ7月下旬にスタートした「Mobage global」「Mobage
China」の海外展開の状況だ。
まだ数日しか経過していない為、足元の状況も不明だが、8月、9月とキャンペーンを推し進め、第3Q(10月〜12月)には結果が求められてくると思われます。引き続き今後の動向には注目していきたいと思います。
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